山梨県の長崎幸太郎知事(57)は2025年9月25日、農林水産省を訪れ、小泉進次郎農林水産大臣(44)に対して、県の特産品である**高級ブドウ「シャインマスカット」**の海外生産ライセンス展開について「到底容認できない」と強く抗議しました。
この要請には、JA山梨中央会の小池会長らも同席。長崎知事は農水省に提出した要請書の中で、もし海外での栽培許可が進めば、日本の農家が築いてきたブランド価値が損なわれ、国内産地が国際市場で不利な立場に追い込まれると強い危機感を訴えました。
背景にある「海外流出」と知的財産の問題
シャインマスカットは、甘みと香りの強さ、大粒で皮ごと食べられる特徴から、国内外で非常に人気の高い品種です。しかし、これまで品種登録の国際的な保護手続きが不十分だったため、すでに中国や韓国などで無断栽培が広がり、現地市場では日本産より安い価格で販売されるケースも目立っています。
こうした現状を踏まえ、農水省は「正式なライセンス契約を通じて、海外での無秩序な栽培を防ぐ」と説明しています。しかし山梨県側は、輸出体制や国内農家の保護策が十分に整っていない中でのライセンス解禁は拙速であり、結果的に国内産地の打撃につながると反発しているのです。
海外メディアも注目
この動きは日本国内だけでなく、海外でも報じられました。ロイター通信は「シャインマスカット栽培権、農水省がニュージーランドへ供与検討 小泉氏に山梨県抗議」との見出しで伝え、農水省の新政策が早くもつまずく可能性に言及しました。記事では、農水省が推進する「海外展開によるブランド保護」という狙いと、国内農家の利益確保の間での板挟みが浮き彫りになったと分析されています。
SNSで大きな反響
山梨県庁が公式X(旧ツイッター)で発信した内容には、1000件を超えるコメントが寄せられました。
「国内農家を守るのが先決ではないか」「ブランドを守るためのライセンスなのに、逆に輸出の妨げになるのでは」など、賛否両論が広がり、SNS上では「#シャインマスカット」「#ライセンス問題」といった関連ワードが一時トレンド入りしました。
今後の焦点
今回の問題は、単なる農産品のライセンス問題にとどまらず、日本の農産物ブランド戦略や農業の国際競争力に直結するテーマです。
山梨県をはじめとする国内の主要産地は、政府に対して「国内農家の利益を最優先に守る仕組み」を求めています。一方で、農水省としては無断栽培の拡大を防ぐためにも、何らかの国際的枠組みを構築する必要があり、両者の意見のすり合わせが大きな課題となりそうです。
まとめとポイント
- 山梨県の長崎幸太郎知事は、シャインマスカットの海外ライセンス展開に強く反対を表明。
- 農水省は「無秩序な栽培防止」を目的とするが、国内農家はブランド価値低下や輸出競争力低下を懸念。
- ロイター通信など海外メディアも報道し、問題は国際的にも注目を集めている。
- SNSでは「国内産地保護を優先すべき」との声が相次ぎ、世論の関心は高い。
- 今後の焦点は、海外展開によるブランド保護と、国内農家の利益確保をいかに両立させるかにある。
結論として、この問題はシャインマスカットに限らず、日本の農産物ブランド戦略全体を左右する重要な分岐点といえるでしょう。