札幌市で20年間にわたり営業されてきた動物園「ノースサファリサッポロ」が、9月30日をもって閉園しました。閉園に伴い、園内で飼育されている300頭を超える動物の受け入れ先確保や飼育環境の維持が大きな課題となっています。
違法状態での長期営業と行政指導
ノースサファリサッポロを運営してきた「サクセス観光」は、市街化調整区域に無許可で建物を建設し、長期間営業を続けてきました。札幌市はこれまでにたび重なる指導や警告を行ってきましたが、施設は改善されず、今回の閉園に至っています。市は違法建物の撤去に向けて、行政処分として「除却命令」の発令を検討しています。
違法状態が20年も続いた背景には、規制の徹底や監視体制の不十分さが指摘されており、行政の対応の遅れが問題視される声もあります。また、動物園の運営側は法令違反を認め、ホームページで謝罪コメントを掲載。「長年支えてくれたお客様やファンの皆様の期待を損なう結果になった」と述べています。
動物の受け入れ先確保が最大の課題
閉園後も多くの動物は園内に残され、運営会社は企業や個人からの支援を受けながら飼育を続けています。しかし、長期的な飼育や移送先の確保には時間と費用がかかるため、動物の安全確保と生活環境の維持が最優先課題となっています。
園内のライオンやトラを含む大型動物は、適切な環境での飼育が難しいため、受け入れ先の選定には慎重さが求められます。また、搬送の際に生じるストレスや事故防止のため、専門家の指導や監督が必要です。市民や動物愛護団体からは、閉園後の動物の福祉確保が不十分ではないかとの懸念の声も上がっています。
市民や観光客の反応
閉園最終日には多くの観光客が訪れ、動物たちの姿を最後に見ようとしました。「動物は元気でしたが、受け入れ先が早く見つかってほしい」との声も聞かれ、地域社会における動物園の存在意義や、運営の透明性の重要性が改めて浮き彫りになっています。
今後の課題と再発防止
閉園後の建物撤去や土地の整備、動物の受け入れ先確保など、課題は多岐にわたります。今後は行政と運営会社、動物愛護団体が連携し、動物の福祉を最優先に対応することが求められます。また、同様の違法営業が再発しないよう、法令遵守と市民への情報公開体制の整備も課題です。
ポイントとまとめ
- ノースサファリサッポロは20年間にわたり無許可で営業され、2025年9月30日に閉園。
- 閉園後も300頭以上の動物が園内に残り、受け入れ先確保が最大の課題となっている。
- 違法建物の撤去や土地の整備には行政処分が必要で、市民や動物愛護団体からの注目も高い。
- 今後は運営会社、行政、動物福祉関係者の連携が重要。再発防止策と透明性の確保が求められる。
- 市民や観光客からは、閉園の影響や動物福祉への懸念の声が上がっており、社会的影響は大きい。