今回のジジポリでは、北海道寿都町で行われた町長選挙と「核のごみ」最終処分場をめぐる議論について解説していきます。
① 導入:小さな町が抱える「国の課題」
北海道後志(しりべし)地方の寿都町(すっつちょう)で、全国的にも注目を集める町長選挙が行われました。
争点は「核のごみ(高レベル放射性廃棄物)最終処分場」の受け入れに向けた概要調査の是非。
この問題は単なる地方の選挙にとどまらず、日本のエネルギー政策と地方自治の在り方に深く関わっています。
② 概要:現職の片岡春雄町長が7回目の当選
10月27日に行われた寿都町長選挙では、
現職の片岡春雄(かたおか・はるお)氏(76歳)が、新人の大串伸吾(おおぐし・しんご)氏を破り、7回目の当選を果たしました。
- 投票総数:約1,700票
- 片岡氏の得票:約1,000票超(過半数を大きく上回る)
片岡氏は「核のごみ最終処分場の概要調査を推進」する立場を明確にしています。
一方の大串氏は「調査への移行に反対」を掲げて戦いました。
片岡氏は当選後、次のように語りました。
「国のエネルギー政策の中で、今まで国民が恩恵を受けてきた。その責任をどこかで果たさなければならない。」
③ 専門用語解説:そもそも「核のごみ」とは?
- 核のごみ(高レベル放射性廃棄物)
原子力発電の使用済み燃料を再処理した後に出る強い放射能を持つ廃棄物のこと。
数千年〜数万年にわたり放射線を出し続けるため、**安全に地中深く処分(地層処分)**する必要があります。 - 概要調査
処分場候補地の地質や地盤を詳しく調べる前段階の調査。
国(原子力発電環境整備機構=NUMO)が実施し、自治体の同意が必要です。
④ 影響と今後の対応:町の分断と国の思惑
今回の選挙結果で、寿都町は「概要調査を進める」方向に進む可能性が高まりました。
しかし、町内では意見が割れており、住民の一部からは反発の声も上がっています。
国のねらいと地方の悩み
- 国は、2030年代までに最終処分場を確定させたいとしています。
- 一方で、人口5,000人に満たない寿都町では、**地域振興や財政支援(交付金)を期待する声も。
→ ただし、「お金と引き換えに安全を売るのか」**という倫理的な議論も続いています。
あなたはどう思いますか?
地方が国のエネルギー政策の「受け皿」になることは、正しい選択なのでしょうか。
⑤ 読者への問いかけ
「核のごみ」を出してきたのは、都市部で電気を使ってきた私たち全員です。
その処分を地方の小さな町が担う――この構図に、どこまで“公平さ”を見出せるかが問われています。
あなたなら、もし自分の町が候補地になったとき、どう考えますか?
まとめポイント
- 北海道寿都町で「核のごみ」最終処分場をめぐる町長選挙が実施。
- 現職の片岡町長が「概要調査推進」を掲げて当選。
- 概要調査は最終処分場選定の前段階で、国のエネルギー政策の一環。
- 賛否が分かれ、町内では今後も議論が続く見通し。
- 問われるのは「地方の責任」か、それとも「国全体の課題共有」か。
(出典:HTB北海道ニュース「恩恵はどこかで」“核のごみ”めぐる町長選挙 概要調査「推進」の76歳現職町長が当選 北海道・寿都町」

「恩恵はどこかで」“核のごみ”めぐる町長選挙 概要調査「推進」の76歳現職町長が当選 北海道・寿都町
「核のごみ」の最終処分場選定をめぐる概要調査への移行が争点となった後志の寿都町長選挙。現職の片岡春雄さんが7回目の当選を果たしました。「ばんざーい」現職の片岡春雄さんは有効投票数およそ1700票のう…

