北海道砂川市では、ヒグマの目撃情報や捕獲が相次ぐ異常事態が発生しています。人間の生活圏にヒグマが入り込み、農作物への被害や住民の安全への影響が深刻化しています。この記事では、銃を持たないハンターであり鳥獣保護員の池上治男氏に密着し、現地でのヒグマとの向き合い方や捕獲の現状を解説します。
ヒグマとの共存は現実的ではない
池上氏は銃を持たない状態で活動しています。2018年に駆除の際、警察官立ち合いで発砲したものの、建物方向への発砲とみなされ銃は没収されました。そのため、現在は丸腰でヒグマと向き合う日々です。
捕獲方法としては「箱わな」を使用。えさにはシカの脚やリンゴを使います。捕獲されたヒグマは箱わな内で唸り声をあげながら激しく暴れることもあり、危険が伴います。池上氏は「ヒグマの数が多すぎて、山の縄張りを押し出されている」と指摘し、「ヒグマと人間の共存は言葉だけで、現実的には難しい」と述べています。
農作物被害と現場での対応
リンゴ農園の関尾守人氏は「クマに振り回され、果物がみるみる無くなる」と語ります。池上氏はヒグマのフンや木の爪痕を確認し、母グマと子グマが近くにいる場合は特に警戒が必要と説明しました。
箱わなにかかった場合は駆除の段取りを組めますが、通常のわなにかかった場合は迅速な対応が求められます。池上氏は市職員に電話で相談し、危険が迫る現場を優先して駆除する指示を仰ぎます。
駆除と保護の間で揺れる心情
池上氏はヒグマを殺したくない気持ちを率直に語ります。過去には子グマ「砂助」を保護し、現在も旭山動物園で元気に暮らしています。しかし、現実問題として人間の安全や農作物被害を優先せざるを得ません。
「人間の生活圏とヒグマの生活圏が重ならないようにする工夫が必要」と池上氏は語り、単に駆除するだけでなく、山全体をどう管理するかが重要だと指摘します。
まとめポイント
- 北海道砂川市ではヒグマの目撃・捕獲が相次ぎ、人間生活への影響が深刻化。
- 銃を持たないハンターで鳥獣保護員の池上氏は、箱わなで安全に捕獲しつつ駆除を行う。
- 農作物被害は深刻で、ヒグマの母子など複雑な状況では迅速な対応が必要。
- 駆除と保護の間で揺れる心情があり、共存は現実的には難しい。
- 山全体の管理と人間との境界設定が、ヒグマ対策の鍵となる。
(出典:Yahoo!ニュース「クマ多発の異常事態 捕獲後も箱わな内で激しく暴れる様子…「ヒグマとの共存は無理」銃なしハンターの葛藤」
