今回のジジポリでは、自民・日本維新の会・公明の3党が合意した「高校授業料無償化制度」と、外国人学校を対象外とする決定の背景や影響について解説していきます。
① 導入:教育の公平性をめぐる議論が再燃
高校の授業料を「実質的に無償化」する方針は、かねてから政府与党や野党の一部でも議論されてきました。
2025年10月29日、自民・維新・公明の3党(以下「自維公」)が国会内で実務者協議を行い、高校授業料無償化の制度設計について正式に合意しました。
この中で注目されているのが、「外国人学校を支援金の対象外」とした点です。
教育の平等という観点から賛否が分かれており、今後の社会的議論を呼びそうです。
② 概要:収入要件撤廃で全世帯対象へ 外国人学校は対象外に
自維公の3党は今回の合意で、次のような制度の骨格を固めました。
- 高校授業料の無償化を目的とした「就学支援金制度」を拡充
- 現在ある世帯収入の制限を撤廃し、すべての生徒が対象
- 私立高校への加算額を最大45万7千円に引き上げ
- 対象は日本の教育制度に基づく高校のみで、外国人学校は除外
必要となる予算は約6,000億円規模。
今後、恒久的な財源をどう確保するかが大きな課題となります。
自民党の柴山昌彦政調会長代理は、「税制面での対応も含め、安定的な財源確保が不可欠」とコメントしました。
③ 専門用語解説(初心者向け)
- 就学支援金制度(しゅうがくしえんきんせいど)
国が高校生の授業料を支援する制度。公立高校は授業料を全額補助、私立高校は一定額を助成している。
現行制度では、世帯年収910万円未満が対象。 - 外国人学校
朝鮮学校やインターナショナルスクールなど、日本の学校教育法の「高等学校」には該当しない教育機関。
文部科学省の管轄外にあるため、支援金制度の対象外となってきた。
この「外国人学校の扱い」をどうするかは、過去の高校無償化政策でも政治的対立点となってきました。
④ 背景と今後の影響:なぜ外国人学校は除外されたのか?
自維公が外国人学校を対象外にした背景には、
「制度の目的が日本の教育課程を受ける生徒の支援に限定されている」という点があります。
特に維新の会は、外国人学校への助成について「教育内容の確認が困難」として慎重な立場をとっており、
今回の協議でもその主張が反映された形です。
一方で、教育関係者や一部の野党からは次のような批判も上がっています。
- 「外国にルーツを持つ子どもたちの教育機会が奪われる」
- 「『無償化』をうたう以上、差別的な排除ではないか」
日本には約120校の外国人学校があり、在籍する生徒は約2万人。
制度の適用範囲から外れることで、教育格差の拡大が懸念されています。
あなたはどう思いますか?
「税金で支えるべきは日本の制度下の学校に限る」という考えと、
「どの子どもにも平等な教育支援を」という考え、どちらに共感しますか?
⑤ 今後の課題:財源と公平性のバランスをどう取るか
今回の合意は、2026年度の制度開始を見据えたものであり、
今後は国会で予算案や法改正の具体化が進められます。
しかし、課題は山積しています。
- 約6,000億円の新たな恒久財源の確保
- 私立と公立の格差是正
- 外国人学校の扱いをめぐる国際的批判
「誰に、どこまで教育費を負担させるのか」という議論は、今後の政治でも大きなテーマとなるでしょう。
まとめポイント
- 自民・維新・公明の3党が高校授業料無償化の制度設計で正式合意。
- 収入制限を撤廃し、すべての高校生が対象に。
- 外国人学校は対象外とされ、教育格差への懸念も。
- 必要予算は約6,000億円で、恒久財源の確保が課題。
- 公平性と財政負担のバランスが、今後の焦点となる。
(出典:共同通信「自維公、高校無償化の制度で合意 就学支援金、外国人学校は対象外」


