2025年10月14日、札幌地裁は、おととし札幌市で法定速度を大幅に超えるスピードで車を運転し、同乗していた女性2人を死傷させたとして危険運転致死傷の罪に問われていた22歳の男に対し、懲役5年の実刑判決を言い渡しました。
法定速度の3倍で暴走 命を奪った危険運転
事件を起こしたのは、札幌市東区に住むアルバイト従業員の伊藤篤被告(22)。
おととし8月、札幌市西区の制限速度40キロの市道を時速約120キロで運転中、電柱に激突。乗っていた知人女性2人のうち1人が死亡、もう1人が外傷性くも膜下出血などの重傷を負いました。
この事故で、伊藤被告は危険運転致死傷罪に問われました。危険運転致死傷罪とは、故意に危険な運転をして人を死傷させた場合に適用される、非常に重い罪です。
「酌量の余地なし」―裁判所が下した判断
検察側は「法定速度の3倍で走行するなど、極めて危険で悪質」として懲役6年6か月を求刑しました。
一方、弁護側は「反省しており再犯の恐れも低い」として執行猶予付き判決を求めました。
しかし、札幌地裁の渡邉史朗裁判長は、
「犯行態様は相応に危険であり、執行猶予を付すべき事情は認められない」
と述べ、懲役5年の実刑判決を言い渡しました。
若者に広がる“スピード過信”と交通モラルの課題
この事件は「スピードの出し過ぎがいかに命を奪うか」を改めて浮き彫りにしました。
特に若年層のドライバーにおいて、「運転技術への過信」「SNSでのスピード自慢」など、危険行為を軽視する傾向が社会問題となっています。
交通事故総合分析センター(ITARDA)のデータによると、若年ドライバー(20代以下)の重大事故原因の約3割がスピード超過によるもの。
今回のような悲劇を防ぐためにも、スピードの危険性を教育・啓発する仕組みが求められます。
あなたはどう思いますか?
「少しくらいスピードを出しても大丈夫」という気の緩みが、一瞬で取り返しのつかない悲劇を生みます。
危険運転致死傷罪とは?
この罪は、2001年に発生した「東名高速飲酒運転事故」をきっかけに制定された法律です。
わざと危険な運転をして他人を死傷させた場合、最長で懲役20年の刑が科せられます。
対象となる運転例には、
- 著しいスピード超過
- 信号無視や逆走
- アルコール・薬物摂取後の運転
などが含まれます。
今後の再発防止に向けて
札幌市内では、スピード違反や煽り運転の摘発が増加傾向にあります。
警察は引き続き取締りを強化し、ドライバーに「交通安全意識の徹底」を呼びかけています。
交通事故は誰にでも起こり得ます。ハンドルを握る一瞬の判断が、人生を大きく変えてしまうことを忘れてはいけません。
まとめポイント
- 札幌市で22歳の男が時速120キロで暴走し電柱に衝突、同乗女性2人を死傷
- 札幌地裁は危険運転致死傷罪で懲役5年の実刑判決を言い渡す
- 裁判所は「執行猶予は認められない」と厳しい判断
- 若者のスピード過信・交通マナー欠如が社会問題に
- 交通事故防止のため、意識改革と啓発活動が急務
(出典:HTB北海道ニュース「時速約120キロで乗用車を運転し電柱に衝突 同乗者2人を死傷させた男に懲役5年の実刑判決 札幌地裁」
