北海道江別市の「江別谷藤病院」で、医師や職員への給与未払いが続いていた問題に新たな展開がありました。病院を運営する医療法人「藤花会」が、札幌市で介護・医療事業を展開する「ライフグループ」に経営を譲渡したことが明らかになりました。これにより、未払いだった給与も全額支払われ、病院の再建が進められています。
江別谷藤病院で相次いだ退職と混乱
江別谷藤病院では、2025年7月と8月分の給与約1.5億円が支払われず、医師や看護師が相次いで退職する深刻な事態となっていました。給与が支払われないまま医療現場が混乱し、患者への診療体制にも影響が出ていたとされています。
こうした中、藤花会の経営難が明らかになり、同法人が抱える負債はおよそ25億円に達していたと報じられています。
「ライフグループ」が経営権を引き継ぎ再建へ
札幌で介護・福祉施設を多く展開している「ライフグループ」が、藤花会のすべての事業を引き継ぎました。ライフグループ側は、未払いだった給与を肩代わりして先月中に全額を支払い済みと発表しています。
経営譲渡に伴い、谷藤理事長は退任予定で、病院名の変更も検討されています。ライフグループは「地域医療の安定と信頼回復を第一に、職員が安心して働ける環境を整える」とコメントしています。
背景にある「地方医療の経営難」
今回の問題は、地方の中規模病院が直面する経営難の一例ともいえます。
少子高齢化による患者数の減少や、医師の都市部集中、人件費の上昇などにより、地方医療機関の経営は厳しさを増しています。
江別谷藤病院のように、地域医療を支えてきた病院が資金繰りに行き詰まり、民間グループに経営を引き継ぐケースは全国で増えつつあります。
今後の焦点:信頼回復と地域医療の維持
経営が安定すれば、地域の患者にとっても安心できる体制が整うことが期待されます。
一方で、医療機関の民間譲渡が進む中、「医療の質は保たれるのか」「営利優先にならないか」といった懸念の声もあります。
あなたはどう思いますか?
医療の現場にビジネスの力を取り入れることは、地域の医療を守る手段となるのか、それともリスクを高めるのか――今後の動向に注目です。
まとめポイント
- 江別谷藤病院が「ライフグループ」に経営譲渡
- 約1.5億円の給与未払い分は全額支払い済み
- 負債額は約25億円、谷藤理事長は退任予定
- 病院名の変更や経営再建が進行中
- 地方医療の経営難と民間企業の参入が今後の課題
(出典:HTB北海道ニュース「負債額約25億円の江別谷藤病院 札幌の「ライフグループ」に経営譲渡 」
