政府が実施した「第6次男女共同参画基本計画」に関するパブリックコメント(意見公募)で、選択的夫婦別姓制度への意見が約1万4000件寄せられ、そのうち9割以上が導入に否定的だったことが明らかになりました。
しかし、一部では「テンプレートのような内容が多い」との指摘もあり、組織的な投稿があった可能性が指摘されています。
パブリックコメントとは?
まず、「パブリックコメント」とは、政府が政策や法律を決める前に、国民の意見を募集する制度のことです。誰でも参加でき、インターネットを通じて意見を送ることができます。
今回は男女平等や家族制度などを含む「第6次男女共同参画基本計画(案)」について、8月26日から9月15日まで意見募集が行われました。
夫婦別姓への意見の大半が「反対」
寄せられた意見のうち、約1万4040件が「夫婦の姓」に関する内容で、そのうち約1万3040件が反対・否定的な立場を示したといいます。
主な理由としては、
- 「親子で姓が異なると家族の一体感が失われる」
- 「家族崩壊につながる」
- 「旧姓の通称使用で十分」
といった意見が多く見られました。
一方で、賛成派の意見は約980件にとどまり、「夫婦同姓の強制は人権侵害だ」「選択の自由が必要」と訴える声が上がっています。
5年前とは真逆の傾向に
前回(第5次計画)の意見募集では、別姓導入への肯定的な意見が多数を占めていました。
当時は全体で約5640件、そのうち夫婦別姓に関するものは約450件で、ほとんどが賛成でした。
ところが今回は、件数が約30倍に増えたにもかかわらず、意見の方向が真逆になっています。
組織的投稿の疑いも
8日に行われた有識者会議では、委員から「テンプレートのような文章が多く、不自然だ」との指摘がありました。
また、選択的夫婦別姓の実現を目指す団体「あすには」代表・井田奈穂氏は、「特定の団体やグループが組織的に投稿した可能性がある」と指摘。
「数の多さではなく、実際に困っている当事者の声をどう反映するかが大切」とコメントしています。
なぜこの問題が注目されるのか
夫婦別姓制度をめぐる議論は、長年にわたり社会の分断を生んできました。
現行制度では、結婚時にどちらかの姓を選ぶ必要があり、約95%が夫側の姓を選んでいるのが現状です。
特に仕事で旧姓を使い続けたい女性や、国際結婚をしている人などからは「法的にも旧姓を使いたい」という声が根強くあります。
一方で、「家族の名前がバラバラになると子どもが混乱する」「伝統を守るべきだ」との意見も根強く、社会全体の合意形成は容易ではありません。
あなたはどう思いますか?
もし夫婦別姓が導入されたら、家庭や社会はどう変わるでしょうか?
「家族の絆」を重視するか、「個人の自由」を尊重するか。
これは制度の問題だけでなく、私たち一人ひとりの価値観にも関わるテーマです。
まとめポイント
- 政府の意見募集で、夫婦別姓に否定的な意見が9割超を占めた
- 意見数は前回の約30倍に増加
- 一部では組織的投稿の可能性も指摘されている
- 肯定派は「人権・選択の自由」を訴え
- 家族観と個人の権利をめぐる議論が再燃している
(出典:Yahoo!ニュース「夫婦別姓に否定的「9割超」 政府パブコメ、組織投稿疑う声」
