中国の太陽光発電関連企業の中で、またひとつ大きな動きがありました。
太陽光発電用ガラスメーカー「Haikong Sanxin New Energy Materials(海控三鑫新能源材料)」が、急速に拡大した損失を抑えるため破産を申請しました。親会社の**海南発展(Hainan Development Holdings)**が10月9日に提出書類で明らかにしています。
中国太陽光業界で何が起きているのか?
Haikong Sanxinは、2025年上半期に**約1億9450万元(約43億円)**の損失を計上。
さらに、総負債は6億5900万元(約145億円)にまで膨らみました。
同社は9月末時点で「これ以上の生産継続は損失拡大につながる」として生産を停止しています。
声明では、「太陽光発電ガラス市場には改善の兆しが見られず、価格の大幅な下落が続いている」とし、採算が取れない状況に陥っていると説明しました。
太陽光発電業界の“過剰供給”がもたらす危機
中国は、世界の太陽光発電関連製品の約80%を生産しています。
その一方で、生産能力が世界需要の約2倍にまで拡大しており、価格の暴落を招いています。
製造コストを下回る水準での販売が続き、多くの企業が**「価格競争に敗れる」形で経営難**に追い込まれています。
中国政府も最近になって「過度な競争は業界全体を傷つける」として、**“価格戦争の自粛”**を呼びかけています。
なぜ価格がここまで下がったのか?
近年、中国では政府の補助金と投資ブームにより、
・新しい太陽光パネル工場
・ガラスやシリコンなどの原材料メーカー
が一気に増えました。
しかし、世界的な需要の伸びが鈍化したため、供給過多に。
製品が余り、売っても儲からない構造ができあがってしまったのです。
あなたはどう思いますか?
環境技術の成長を支えるはずの産業が、自らの“成長スピードの速さ”で苦しむ──
これは、再生可能エネルギーの裏側にある大きな課題かもしれません。
今後の注目点
- 中国政府がどこまで業界再編を進めるか
- 中小メーカーの倒産ドミノが起きる可能性
- 世界の太陽光パネル価格への影響
- 他国メーカーにとっての「追い風」になるかどうか
今後、再生可能エネルギー市場の健全な成長には、生産のバランスと価格の安定化が欠かせない課題となるでしょう。
まとめポイント
- 太陽光発電ガラス大手Haikong Sanxinが破産申請
- 負債総額は約6億5900万元、生産はすでに停止
- 中国の太陽光業界は過剰生産で価格が暴落
- 政府が「過度な競争の抑制」を要請
- 再エネ産業の持続性と健全化が今後の焦点
(出典:Yahoo!ニュース「中国の太陽光発電ガラスメーカーが破産申請へ、海南発展の子会社」
