西区でヒグマの目撃情報が再び|同一個体の可能性も
札幌市西区で、ヒグマの目撃情報が再び相次いでいます。
10月9日夜、住宅街にクマが出没し、一時的にその場に“居座る”様子も確認されました。
最初の通報は午後7時半ごろ、西区山の手5条10丁目で「道路を横切るクマを見た」と住民から警察に寄せられました。
クマの体長は約1メートル。ほどなくしてその場を立ち去ったものの、2時間後には同じ地域の斜面に再び姿を見せたとの報告もあり、警察は同一個体の可能性が高いとみています。
警察とハンターが出動して警戒にあたりましたが、クマは午後10時半ごろ斜面を離れたため、追跡を解除。被害は確認されていません。
住宅街でのヒグマ出没が止まらない札幌西区
西区では9月にも男性がヒグマに襲われる事故が発生しており、その際に**「ヒグマ警報」が発令されました。
以降も、住宅街や公園での目撃・駆除・施設の一時閉鎖が相次いでおり、地域住民に不安が広がっています。**
特に、西区は山や森に隣接する住宅地が多く、ヒグマの行動圏と人の生活圏が近いのが特徴です。
夏から秋にかけては、冬眠前の食料確保のために山から下りてくるクマが増える傾向にあり、出没リスクが高まります。
なぜクマが住宅地に? 背景に「食糧不足」と「慣れ」
札幌市や専門家によると、ヒグマが市街地へ姿を現す主な原因は以下の3つです。
出没増加の主な要因
- ドングリなどの木の実の不作
→ 山中での食料が不足し、人里に下りてくる。 - 住宅地の生ごみ・果樹・ペットフードなどの匂い
→ クマを引き寄せる誘因となる。 - 人間への“慣れ”
→ 都市近郊でのクマ出没が常態化し、警戒心が薄れている。
実際、札幌市内では「夜間にゴミを出す」「庭木の果実を放置する」などの行動がクマを誘引するケースも報告されています。
そのため、市民一人ひとりの意識改革が求められています。
西区のヒグマ警報とは?
「ヒグマ警報」は、人身被害が発生した場合や、その危険が高いと判断された場合に札幌市が発令します。
発令中は、市民に次のような行動が求められます。
注意すべき行動
- 夜間・早朝の外出を控える
- 散歩やジョギングなどは複数人で行う
- 山や河川敷、緑地帯への立ち入りを避ける
- 生ごみ・果実・ペットフードを屋外に置かない
特に西区では、公園の閉鎖や通学路の見直しなども実施されており、市民の生活に影響を及ぼしています。
目撃時の対応|もしクマを見かけたら?
札幌市は、クマを目撃した場合の正しい行動として以下の点を呼びかけています。
その場での行動
- 近づかず、刺激しない(大声・フラッシュ撮影は禁止)
- その場をゆっくり離れる
- 子どもやペットをすぐ屋内へ避難させる
通報先
- 札幌市コールセンターちょっと教えてコール:011-222-4894(市役所、区役所のどの部署に聞いたらよいのか分からないときや、制度や手続き、施設、行事、公共交通案内などの一般的な内容についてご質問があるときにご利用ください。)
- 緊急の場合は 110番(警察)または119番(消防)
また、クマの出没情報は札幌市公式サイトや防災アプリ「さっぽろ防災ポータル」でも随時更新されています。
専門家の見解:「人とクマの距離が縮まりすぎている」
野生動物専門家の間では、「人間がクマの行動範囲に踏み込んでいる」という指摘もあります。
山の開発や宅地化が進み、クマの生息域が狭まった結果、人との“すみ分け”が崩れているというのです。
また、札幌市近郊では若い個体のクマが単独で行動するケースも増えており、これが「夜間の住宅街出没」を助長している可能性もあります。
今後の対策と課題
札幌市では現在、
- クマの出没情報のリアルタイム共有
- 監視カメラや赤外線センサーの設置
- ハンターとの連携強化
などの対策を進めています。
一方で、クマを完全に排除するのではなく「共存のバランス」をどう取るかが長期的な課題です。
まとめポイント
- 札幌市西区で住宅街にヒグマが相次いで出没
- 同一個体の可能性が高く、一時的に居座る行動も確認
- 背景には食料不足・人への慣れ・都市化の進行
- ヒグマ警報発令中は夜間外出や生ごみ放置に注意
- 目撃時は近づかずすぐに警察または市へ通報
- 今後は「人とクマの距離の取り方」が最大のテーマ
編集者コメント
札幌市でのヒグマ出没は、もはや「山の出来事」ではありません。
住宅街や通勤ルートにも現れる今、誰もが当事者です。
恐怖だけでなく、「どうすればクマと人が安全に共存できるか」を考えることが、これからの都市型野生動物対策に求められています。
(出典:HTB北海道ニュース「一時居座り」も…住宅街で住民によるクマ目撃相次ぐ 同一個体か ヒグマ警報の札幌市西区」