アメリカのロイター通信は2025年10月3日、トランプ政権が米国内で自動車を生産する主要メーカーに対し、関税負担の軽減措置を導入する見通しであると報じました。対象にはトヨタ自動車やホンダなど、日本の大手メーカーも含まれる見込みです。
この措置が実現すれば、米国内に拠点を持つ自動車企業にとっては関税コストの大幅な削減につながり、今後の生産・販売戦略に大きな影響を与える可能性があります。
■ 対象企業と狙い:米国生産を優遇へ
報道によると、対象企業はトヨタ・ホンダに加え、フォード、GM(ゼネラル・モーターズ)、テスラなど、米国内での生産比率が高い大手自動車メーカー。
共和党上院議員によると、これらの企業は地元の雇用創出や経済支援に大きく貢献しており、**「国内生産を後押しするインセンティブ」**として、優遇措置を導入する狙いがあるとされています。
■ 現行の関税政策と変更点
トランプ政権は2025年5月に自動車部品への25%の追加関税を発動しましたが、その一方で、国内生産を促すための小売価格の一部免除制度を導入していました。
現在の免除割合は以下の通りです:
- 2026年4月まで:3.75%
- 2026年5月〜2027年4月:2.5%
しかし、トランプ大統領は今回、
✅ 免除割合を3.75%に据え置く
✅ 期間をさらに5年間延長
✅ 適用対象を「自動車」だけでなく「エンジン」にも拡大
といった修正案を検討中とされています。
■ 自動車メーカーへの影響
共和党上院議員は、「今回の軽減措置が決定すれば、自動車メーカーの関税負担の大部分を相殺できる」と述べています。
特に、米国内での生産比率が高いトヨタやホンダにとっては、関税コスト削減とブランドイメージの向上という二重のメリットが期待されます。
一方で、実際にどの程度の負担軽減効果があるかについては、制度の運用次第で変わる可能性があり、具体的な経済効果はまだ不透明です。
■ 日欧との交渉と国際的な影響
トランプ政権による自動車関税は2025年4月、乗用車で**2.5% → 27.5%**に引き上げられており、日本やEUとの関係に緊張をもたらしていました。
その後、9月には関税交渉を経て、過去にさかのぼって15%へ引き下げが適用され、一定の緩和が実現しています。
今回の措置が発動すれば、日米関係だけでなく、EU・中国との貿易交渉にも新たな影響を及ぼす可能性があります。
■ 今後の焦点:米国内生産と日本企業の対応
今回の動きは、トランプ政権が掲げる「アメリカ・ファースト政策の再強化」を象徴するものといえます。
今後、日本の自動車メーカーは以下の対応を迫られる可能性があります。
- 米国内生産比率をさらに高める投資判断
- 関税軽減措置の活用による価格戦略の見直し
- 為替・物流コストを含めた新たなサプライチェーンの構築
特に、ホンダやトヨタは既に米国内での生産体制を強化しており、今回の関税措置が両社の競争力を後押しする可能性が高いとみられます。
✅ まとめポイント
- トランプ政権がトヨタ・ホンダなどへの関税軽減措置を検討中
- 米国内生産を行う企業に対して優遇策を拡大
- 関税免除割合3.75%を維持し、期間を5年間延長
- エンジンにも対象を拡大する見通し
- 日本メーカーの米国内生産体制がさらに重要に
今後の米国の自動車政策は、世界経済やサプライチェーンの再編にも影響を与える可能性があり、日本の自動車業界にとっても大きな岐路となる局面です。
(出典:毎日新聞「トランプ政権、トヨタ・ホンダなどへの関税軽減措置を決定へ 米報道」
