全国111郵便局で軽バン188台の使用停止処分 国交省が日本郵便に行政措置

日本の最新ニュース

日本郵便における配達員への点呼不備問題をめぐり、国土交通省は2025年10月1日、貨物自動車運送事業法に基づく行政処分を発表しました。処分の対象は全国47都道府県にある111の郵便局で、合計188台の軽バンが15日から最長160日間の使用停止となります。処分の効力は10月8日から順次発生します。

点呼不備と記録改ざんが発覚

今回の行政措置は、日本郵便の一部拠点において 運転前点呼の未実施や記録改ざんが行われていた ことが背景にあります。点呼は運転者の健康状態や飲酒の有無を確認し、安全運行を確保するために義務づけられている基本的な業務です。これが徹底されていなかったことは、輸送業務の信頼性を大きく揺るがす事態といえます。

特に、東京都江東区の深川郵便局と広島県尾道市の尾道郵便局では、それぞれ7台ずつの軽バンが使用停止となり、台数ベースで最大規模の処分となりました。

最長160日の停止処分を受ける郵便局

さらに、北海道から九州にかけての11局では、軽バン1台に対して最長160日間の使用停止処分が下されています。これらの郵便局では車両数が限られているため、日常業務への影響が大きいとみられています。

対象局には北海道松前町の江良局や、静岡県伊豆市の湯ケ島局、岡山県高梁市の吉備川上局、徳島県那賀町の延野局などが含まれており、いずれも地方の重要な集配拠点です。

また、岩手県盛岡市の藪川局や香川県直島町の直島局など、1台しか軽バンを保有していない局では、その唯一の車両が長期にわたり使用できなくなるケースもあります。停止期間は83日から154日間と幅があり、業務の継続に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

業務への影響と対応策

日本郵便はすでに2025年6月、一般貨物自動車の輸送許可が取り消されており、拠点間輸送に用いるトラック約2500台が5年間使用できなくなる措置を受けています。今回さらに、ゆうパック配達の主力である軽バンまで制限が加わった ことで、現場の負担は一層重くなることが予想されます。

同社は他局からの応援車両の融通や、外部業者への配送委託によって対応するとしていますが、地方局においては代替要員や車両の確保が難しく、地域住民の生活インフラに影響が出る懸念も指摘されています。

今後の見通し

日本郵便はこれまでに、全国2391局、全体の約75%で点呼業務に不備があったと公表しています。国交省による監査は現在も進行中であり、最終的には約2000局が処分対象になる可能性も報じられています。

郵便局は公共サービスの一翼を担う存在であるだけに、再発防止策の徹底と安全管理体制の強化が急務といえるでしょう。


まとめのポイント

  • 日本郵便が点呼不備・記録改ざん問題で国交省から行政処分を受け、全国111局の軽バン188台が使用停止に。
  • 最長160日間の長期処分を受ける局もあり、特に車両が1台しかない地方局では業務停滞のリスクが大きい。
  • すでに一般貨物輸送許可を失った影響に加え、ゆうパック配達業務にも支障が及ぶ見通し。
  • 国交省の監査は継続中で、処分対象局はさらに拡大する可能性がある。
  • 安全運行の確保と信頼回復に向け、日本郵便は抜本的な改革を迫られている。
タイトルとURLをコピーしました