2025年9月29日、米副大統領のマイク・バンス氏は、10月1日以降の政府支出を手当てするつなぎ予算案をめぐる与野党協議後、「われわれは政府閉鎖に向かっている」と明言しました。米国では、医療関連予算を巡る与党共和党と野党民主党の意見の対立が続き、2025会計年度(2024年10月~2025年9月)末を30日に控え、政府機関の一部閉鎖の可能性が高まっています。
協議の経緯と現状
トランプ大統領と与野党の議会指導部は29日、ぎりぎりでの政府閉鎖回避を目指し、ホワイトハウスで協議を行いました。しかし、民主党はつなぎ予算案に、年末で失効する低所得者向け医療保険補助の延長などを含めるよう要求。一方、バンス副大統領は、要求通りに予算を増額すると巨額の歳出増が見込まれるとして「全く受け入れられない」と拒否したと報告されています。
共和党は、26年度予算案の審議時間を確保するため、支出規模をほぼ25年度水準に維持するつなぎ予算案を提出。下院では可決されましたが、議事妨害(フィリバスター)対策として民主党の協力が不可欠な上院では否決されました。
与野党の立場と意見
民主党上院トップのチャック・シューマー院内総務は協議後、記者会見で「実のある交渉だった」と述べつつも、つなぎ予算案には民主党案も取り入れる必要があると強調しました。また、政府閉鎖回避は「トランプ氏次第」と訴え、低所得者向け医療支援削減の撤回などを求めています。
一方で、共和党は大型減税関連法に基づく支出抑制の立場を維持。両党間の隔たりが依然として大きく、短期間での妥協は困難な状況です。
政府閉鎖がもたらす影響
もしつなぎ予算案が速やかに議会を通過できなければ、緊急性の低い政府機関の一部が10月1日から業務を停止する可能性があります。ロイター通信によると、経済統計の発表も延期される見込みで、特に3日の米雇用統計など重要指標の公表遅延が予想されます。これにより、国内外の経済や社会に混乱が生じる懸念が強まっています。
中立的な視点での考察
今回の事態は、与野党間の政策優先度や財政理念の違いが顕著に表れた事例です。
- 民主党は医療・福祉分野への支出維持を重視し、社会的弱者の保護を優先する立場。
- 共和党は歳出抑制や大型減税法の順守を重視し、財政健全化を優先する立場。
- 双方の立場が対立しているため、政府閉鎖リスクが高まっている。
- 社会や経済への影響を最小限に抑えるためには、妥協と協議の迅速化が不可欠である。
中立的には、政治的立場の違いを理解しつつ、経済や市民生活への影響も含めた冷静な判断が求められます。
まとめ:米政府閉鎖の可能性と注目ポイント
- バンス米副大統領は「政府閉鎖に向かっている」と明言。10月1日以降、政府機関の一部閉鎖の可能性が高まる。
- 協議では、民主党の医療支出拡大要求と共和党の歳出抑制方針が対立し、妥協点は見つかっていない。
- 下院ではつなぎ予算案が可決されたが、上院では民主党の協力が得られず否決。
- 政府閉鎖が実際に起これば、経済統計や雇用統計の発表遅延など、社会・経済への影響が懸念される。