京都府内で長年、JAグループ京都のトップを務める中川泰宏会長(74)が、国税当局の税務調査で指摘された約3億円の申告漏れを巡り、28日に記者会見を開きました。中川氏は、大阪国税局の処分に不服として、国税不服審判所に審査請求を行ったことを明らかにしました。
ファミリー企業を巡る申告漏れ
中川氏の申告漏れ問題は、本人のみならず親族が経営する複数のファミリー企業にも及んでいます。税務調査によれば、これらの企業は2024年ごろまでの7年間で約5億円の所得を申告していなかったことが判明しています。
ファミリー企業は、主にJAグループ京都から受注した工事を巡り、取引先に偽の領収書を発行させるなど、外注費を支払ったように装う手口を行っていたとみられています。中川氏は、これらファミリー企業から計約3億円を受け取ったとされ、国税当局はこれを所得として課税対象と判断しました。
追徴課税と総額
中川氏本人とファミリー企業の申告漏れを合計すると、総額は約8億円にのぼります。国税当局は、重加算税を含む約5億円の追徴課税を課したとみられます。
JAグループでの経歴
中川氏は、JAグループの中央組織であるJA共済連経営管理委員会副会長や、JA全農経営管理委員も務めています。また、地元JA京都中央会の会長を27年にわたって務め、現在も京都府内の五つの農協で構成される**JAグループ京都(組合員約14万人)**のトップとして活動しています。
不服申し立ての流れ
国税不服審判所は、国税当局の処分に対する不服申し立てを第三者的立場で審理する機関です。審査請求を行うと、双方の主張を確認したうえで裁決が下されます。さらに審査結果に納得できなければ、裁判所に対して処分取り消しを求める訴訟を起こすことも可能です。中川氏がどのような主張で審査請求に臨むのか、今後の動向が注目されています。
まとめとポイント
- 京都JAグループの中川泰宏会長が、国税局から指摘された約3億円の申告漏れについて、国税不服審判所に審査請求を行った。
- 中川氏の親族経営のファミリー企業も含め、申告漏れ総額は約8億円、追徴課税は約5億円に上る。
- ファミリー企業は偽の領収書を利用するなどの手口で外注費を水増しし、中川氏が所得を受け取ったとみられる。
- 国税不服審判所での審査結果次第では、裁判所への訴訟に発展する可能性もある。
- 今後、JAグループ内外での影響や、政治・経営活動への波及も注目される事案。