中立的な立場で記事を作成するため、一部の記事をリライトしました。

中国・市民記者 張展さんに再び実刑判決 武漢でのコロナ取材が罪に問われる

海外ニュース・国際問題

武漢での取材と発信

新型コロナウイルスが最初に大規模感染を起こした中国・湖北省武漢。
当時、現地の病院や火葬場、ロックダウン下の街の様子を取材し、SNSや動画で発信していたのが市民ジャーナリストの 張展(Zhang Zhan)さん です。張さんは元弁護士で、政府発表だけでは分からない現場の実態を伝えて注目を集めました。

逮捕と収監

しかしその活動は「社会秩序を乱した」とされ、2020年5月に拘束。
同年末に 「尋衅滋事(けんかを売って騒ぎを起こす)」 という罪で懲役4年の判決を受けました。
収監中、張さんは繰り返しハンガーストライキを行い、強制的に栄養を投与されるなど健康状態が深刻に悪化したことでも知られています。2024年5月に刑期を終え、一度は釈放されました。

再び拘束、そして新たな判決

ところが2024年8月、再び当局に拘束され、上海の浦東にある拘置所に収容。
そして 2025年9月19日、上海の裁判所が再び懲役4年の実刑判決 を言い渡しました。
今回も罪状は「尋衅滋事」。裁判は非公開で行われ、外国メディアや各国大使館関係者の傍聴は認められませんでした。

「尋衅滋事」という罪名とは?

中国でよく使われるこの罪は、定義が非常に幅広く、当局にとって不都合な発言や活動を取り締まるために使われやすいと言われます。
張さんの場合も「武漢での取材や発信が国家のイメージを損ねた」とみなされたと考えられています。

健康への懸念

過去の収監中に体重が大幅に減り、入院や強制栄養投与を受けていた張さん。
釈放後も体調が完全には回復していないとされる中で、再び収監されることになり、国際社会からは人道的な懸念が高まっています。

国際的な反応

国連や国際ジャーナリスト団体「国境なき記者団(RSF)」、アムネスティ・インターナショナルなどの人権団体は、今回の判決に強く反発。
「張展さんは公共の利益のために現場を伝えただけで、犯罪者ではない」として、即時釈放を求めています。
欧米の主要メディアも大きく報じ、中国における言論の自由の制約を象徴する出来事として世界的に注目を集めています。

ポイント

  1. 張展さんの背景
    • 元弁護士で市民ジャーナリスト。
    • 武漢の病院・火葬場・ロックダウンの街を取材し、SNSや動画で発信。
  2. 初回の拘束と判決
    • 2020年5月に拘束。
    • 「尋衅滋事(社会秩序を乱す罪)」で懲役4年。
    • 収監中にハンガーストライキ、健康が悪化。
    • 2024年5月に釈放。
  3. 再びの拘束と判決
    • 2024年8月に再拘束され、上海浦東の拘置所へ。
    • 2025年9月19日、再び懲役4年の判決。
    • 裁判は非公開、外国メディアや外交官は傍聴できず。
  4. 「尋衅滋事」という罪名
    • 中国で広く使われる治安維持名目の罪。
    • 定義があいまいで、批判的な発言や報道を弾圧するために使われやすい。
  5. 健康状態への懸念
    • 過去の拘禁で体重が激減、強制栄養投与も。
    • 釈放後も完全には回復せず。
    • 再収監により人道的な懸念が拡大。
  6. 国際的な反応
    • 国連、RSF、アムネスティなどが強く抗議。
    • 「公共の利益のための報道活動であり犯罪ではない」と主張。
    • 欧米メディアも大きく報じ、言論の自由をめぐる象徴的事件とされている。

まとめ

  • 張展さんは新型コロナ発生初期の武漢を取材したことで「尋衅滋事」の罪に問われ、再び4年の実刑判決を受けた。
  • 裁判の不透明さや健康問題により、国際社会は強い懸念を表明。
  • この事件は、中国における言論の自由と市民ジャーナリズムの危うさを示す象徴的な事例となっている。
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