■ なぜこのニュースが重要なのか
内戦と軍事政権による政治的混乱が続くミャンマーで、借金返済や生活費のために自ら腎臓などの臓器を売る人が急増しています。
現地では、腎臓1つで約25万円(700万チャット)が相場とされ、インドや国内の病院で移植手術を受ける例が目立ちます。
私たちにとっては遠い国の話のように感じるかもしれません。しかし、経済や政治の混乱がどれほど個人の生活に深刻な影響を与えるかを理解するうえで、重要なニュースです。
■ 臓器売買の現状と仕組み
最大都市ヤンゴン近郊のカンベ村(人口約700人)では、住民が次々と臓器を売る状況が報告されています。
- 2023年5月、25歳のチョウチョウさんは腎臓を売る
- 政変後に失業し、息子の入院費も重なり借金が膨らんだ
- ブローカーの誘いでインド・ニューデリーへ渡航
- 書類を偽装して病院審査を通過、1カ月半で手術と退院
- 同村では、住民10人以上が腎臓や肝臓を売り、さらに数人が売る予定
- 手術費や報酬は一人あたり約700万チャット
- 違法な行為であるにも関わらず、行政や警察は黙認しているケースもある
このように、臓器売買は一種のシステム化が進んでおり、貧困や借金に追われた人々が生き延びるための手段として利用されています。
■ 生活のための苦渋の選択
臓器売買は、金銭的には一時的な救済になるものの、生活の根本的な改善にはつながらないことが多いです。
- 29歳のモーモーさんは、母親の借金返済のため腎臓を売った
- 金の指輪やネックレスを買ったが、すぐに生活費に消えた
- シングルマザーとして娘を育てるため、もう売る物は何も残らない
- 27歳のカンコーさんは、臓器売買で得た資金で土地と家を購入
- 「臓器を売る仲間の多くは金をすぐ使ってしまう。せめて何か形に残したかった」と語る
この現状は、政治・経済の混乱が個人の生活や命の選択に直結する悲しい現実を象徴しています。
■ 背景:軍事政権と経済の悪化
ミャンマーは2021年2月のクーデター以来、軍事政権による統治が続き、経済は急速に悪化。
- インフレの急上昇
- 失業の増加
- 社会保障や医療の不足
こうした状況が、人々に違法でも命を守るための手段を選ばせる原因となっています。
民主派指導者アウンサンスーチー氏を懐かしむ声もあり、「平和な時代であればこんな選択はしなかった」と語る住民も少なくありません。
■ 考えさせられる問い
- 経済混乱や政治的不安が、どれほど個人の命や生活に影響を与えるのか?
- 「生きるための選択」とは言え、臓器売買のリスクや倫理的問題をどう考えるべきか?
- 日本や国際社会は、こうした事態に対してどのように支援できるのか?
🟩まとめポイント
- ミャンマーでは、軍事政権下の経済混乱により臓器売買が急増
- 腎臓1つで約25万円、主にインドで移植手術を受ける例が多い
- 貧困や借金が背景であり、住民は「生きるための苦渋の選択」と語る
- 行政や警察の黙認により、臓器売買がシステム化している
- 経済・政治の混乱は、個人の命や生活に深刻な影響を及ぼす
(出典:Yahoo!ニュース「ミャンマーで臓器を売る人が急増中 軍事政権下で経済混迷、「生きるために」

ミャンマーで臓器を売る人が急増中 軍事政権下で経済混迷、「生きるために」(共同通信) - Yahoo!ニュース
内戦が続くミャンマーで借金返済のため臓器を売る人が急増中だ。インドで移植手術を受ける例が多く「腎臓一つ700万チャット(実勢レートで約25万円)が相場」。軍事政権下の経済混迷が背景にあり、経験者は